ヴィクトル
好きなもの:読書、紅茶
苦手なもの:争いごと、甘いもの
特技:剣技、きれいな字を書くこと
「盗賊でもいい人はいるし、王族でも悪いやつはいる。肩書きよりも、その人がどんな理由でどんなことをしたか――その方がずっと大切なのだと、わかったんだ」
♫生まれたきっかけ
DQ9でのヴィクトルのモデルは、パラディン(聖騎士)の男の子です。防御力と体力がべらぼうに高いので、仲間をかばい、代わりに自分が魔物の攻撃を受けます。特に僧侶や魔法使いは打たれ弱いので、何度も彼に守られ命拾いしました。メガザルという、自分の命を犠牲にして味方全員を回復させる呪文を覚えるのも、パラディンの魅力のひとつです。
彼は、初めは魔物を恐れず、なんでもできる完璧な青年という設定でした。しかし頑固で、悪を絶対に許さぬ性格だったので、盗賊であるアランのことを毛嫌いしていました。おかげで四人の仲は最悪です。このままではわたしがヴィクトルを嫌いになりそうだったので、穏やかで物腰のやわらかい、争いを好まない青年に変更しました。魔物を恐れているという弱さも、このときにつけ足しました。少々まじめすぎるところと、忠誠を誓っている故国がじつは悪者であるという設定は、そのまま使っています。
♫名前の由来
最初はジーヴスという名前でした。そのとき『ジーヴスの事件簿』という本を読んでいたからです。けれど少し呼びにくいので、性格とともに名前も変えることにしました。せっかくだからヴは残そうと思い、ロシア語人名録からヴィクトルという名前を選びました。作中では「エワルド」という姓が出てきますが、ヴィクトル・エワルドという名前はロシアの作曲家からとったものです。
♫デザインについて
『アーサー王物語』を読んでみると、騎士というものは大体鎧を身につけ、やたら大きな盾を持ち、立派な兜をかぶっています。ヴィクトルはどれもつけていません。その理由はただ一つ、わたしが鎧も盾も兜も描けないからです。それに兜をかぶっていては、せっかくの美形が台無しになると思いませんか?
創作仲間の知人に相談して、髪型をデザインしてもらったりもしました。ヴィクトルは、美青年をこよなく愛する知人がいたからこそ完成したようなものなのです。
まじめで優しくて、顔立ちも整っていて……書いているだけで照れてしまうキャラクターでした。同時に、苦手なキャラクターでもありました。わたしにとって17歳の青年というものは、未知の生物のようなものだからです。彼がどんな悩みを持ち、その悩みをどんなふうに解決させればいいのか……わからないからこそ、ヴィクトルのことはかなり慎重に書きました。いざ書いてみると、意外とかわいらしい面もあったりして、今ではすっかりお気に入りです。